利尻山登山道整備 その壱

7月19日から8月5日まで利尻山の登山道整備に行ってきました。
この整備は毎年環境省が行なっているもので、今年は長期滞在で手伝うことになりました。
 
利尻山はコースが二つありますがどちらも全体的に登山道侵食が起こっています。
特に9合目から山頂間は危険を感じるほど激しく崩れ、現在も崩れ続けています。
また、6合目より下の樹林帯でも木の周りの土砂が流れ段差が深くなるなど侵食が進んでいます。
今回は鴛泊コースの樹林帯での作業を紹介したいと思います。
 
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島を回りながら見ると見る場所によって12の形があるという。
百名山の一つ。見ても登ってもいい山です。
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 10作業は地元の環境省林野庁、役場のひとたちとの
共同作業です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
樹林帯での整備方法は近自然工法に基づいたものです。
周囲の風倒木を利用し「浸食を止め自然が回復するように、また、歩きやすく」というのが狙いです。
幸い周囲には幹周り30~40cmの倒木が多くあり、材料は問題ありませんでした。
 
整備はこんな感じです。    施工前                 施工後    
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段差の深くなった木の根周りに倒木を階段状に配置し、水による浸食と人による浸食から守る施工にしました。
また、倒木は直線的に配置せず、自然なカーブを描き風景にも溶け込むようにしました(水による浸食を抑える意味もあります)。
 
施工前                                施工後                            
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60cmほどの段差も、近くにあった切り株と倒木で歩きやすく。
施工前                               施工後
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溝上に掘れている場所は床止工と言う手法で土留めし、浸食を防ぎます。
木を使うときも、ただ置くだけでは浸食は止まりません。水や人の動きを予測し、木を削ったり石を埋め込んだりと様々なポイントがあります。
施工前                               施工後
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この整備では倒木をよく使いましたが、大きな倒木がひとつあると数十メートルの区間が施工できる場合があり、樹林帯での倒木施工に大きな可能性を感じました。周囲の材料で施工するという近自然工法の理念に合致していて今後に期待が持てます。
それにしても樹林帯の整備中はなんと不快指数の高かったことか。
とにかく蒸し暑い。風がない。じっとしていても汗が出る中、周囲は「つたうるし」だらけ。そして常に数十匹のブヨにたかられている状態。しばらくは「うるしかぶれ」にやられました。
そんな中でも登山者の「ご苦労さま」の一言には助けられました。本当にやる気が出ます。
 
まだまだ整備はあります。今度は山頂直下、一番ひどい浸食部の施工を紹介したいと思います。