今年の施工…徳島

今年の施工を振り返ってみました。
思えば、今年もいろいろな場所で施工の機会をいただきました。
徳島県 剣山
・長野県 八ヶ岳
・そして大雪山
施工は大雪山の一部を除き、ほとんどが現地の方々と一緒に施工するようにしています。
ようは自分は口を出すのがメインになります。
本当は一人黙々と施工したいけど、それでは地元の方々のスキルアップにはならないしね。

でも、どこへ行っても実力ある地元の人達がいました。
こちらのアイデアをすぐに体現してくれる技術は勉強になり、何よりも楽しかった。

徳島県 剣山での施工です。
3回の出張、13日間の施工でした。
現地では地元の林業会社「ウッドピア」さんが施工を担当してくれました。

剣山
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崩れた道を架け替え
一部にカスガイは使えどNO杭、NO掘削施工
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現場にある物を使うと言ってもなかなか大変です。
大仕事が多かったけど、林業の人たちです。
大物使うこと、細かい技もさすがでした。
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現場はこんな感じ。
土砂崩れで新たに道を作ることになった場所です。
どうすればここに植物が生えて復元していくだろう、
と常に考えます。土壌が安定し、数十年経った状態を想像します。
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木も石もある。林業の技術もある。
資材、労力はしっかりある。そうすると施工内容が決まるんです。


段差が高い場所。下りね。
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木を当てる。
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石材を詰める。…だけ。
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自然だったらどう成っていくか。
そのためにどういうきっかけを作れるだろうか。
自然を作るのではない。自然が成っていくきっかけを作る。ただそれだけ。
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自然の作用で木が流され岩に引っかかりそれに石が積み上がり・・そんな感じを目指し。
写真の中に十数段の施工があり、とても歩きやすくなりました。
雰囲気はそのままの自然。
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こんな場所もあった。
斜面をトラバース(横切る)道。
しっかりした木柵工があったけど
雪が融けながらゆっくりと流れる「積雪グライド」現象によって壊滅状態です。
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自然に逆らってはいけない。雪の流れを妨げてはいけない。だからこんな感じに。
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施工物が大きいと雪が斜面を滑るときには大きなテンションがかかります。
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この木材はこのまま使えそうだから・・・
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通り道は恐怖感が無いくらいで最低限に。
少し道自体にも角度をつけて上から下へと自然に流れるように・・。
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杭を使う時には「てこの原理」を理解して。
杭頭は土の上が少ないほど強固になります。
自然の構造物は一つの力で成り立っていません。
小さな力がいくつも複合して強固な形を作っています。
使える原理は何でも使うつもりで現場を見ること。
こちらの頭が柔らかいほど、自然はヒントをくれるようです。

斜面に付いた水みちは何とかしなければ。そのままにしておくとガリー侵食になってしまう。
だけど見渡すと大きな倒木がある。それを動かせる人たちがいる。
資材があり、労力がある。完璧でした。
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あえて枝付きのまま運んでもらいました。土台は大きな石を埋め込み固定。
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枝は木材が滑り落ちるのを防ぐだけでなく、
上から流れてくる土壌を受け止めてくれるでしょう。
水も分散されて弱い力になるはず。
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いつかこんな感じになってくれればいいな。
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ここも楽しい施工だった。
登山道が谷部分だけ崩れてしまった場所。
ルートを作らなければならない。
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チルホールを使って土台となる大石を動かす。
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谷に流されていた太い倒木を運ぶ。
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石材と木材を固定する。
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階段状にして歩けるように施工。
谷に水の流れがあっても妨げないように、施工物はシンプルに。
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案外難しかった場所。
崩れやすく、道が狭く、険しい。
常に人が溜まって渋滞する場所だったようです。
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踏圧による崩れを止めたかった。これ以上崩れると道がなくなりそうだった。
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大場所もありました。
でも考え方は同じく。自然をしっかり見ること。
土台を作ればそこに溜まっていく。想像すること。想像できるようになること。
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大石を巨石に引っ掛けて固定する。その際に太い倒木も固定。
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土台ができればあとは簡単?現場にある物をできるだけ活用する。
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どんな場所にも方法はあるんですね。それを見つけることが出来るかどうか。
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木の階段
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石の階段。発想は自由にしなければ。
ただし、この発想の基はすべて自然界にあるんです。
どこかで自然にこうなっている場所を見たことがあるでしょ。
自分はそれを真似しているだけ。
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そして林業のプロフェッショナルとの作業は本当に楽しかった。
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「あの木を動かしてください」と頼むと「あんたも無茶いいよるのぉ」と言いつつ
周りを見渡して「いけるじゃろ」とすぐに動かしてくれる。
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「この石を動かすんかい」と言いつつ簡単にチルホールで動かす。さすがです。
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見ていて無駄がない。そしてなんか楽しそう。
「こういう作業は楽しいんじゃ」と言ってくれたのは嬉しかった。
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結局、剣山の山頂には行けなかったけど、楽しい山でした。
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歴史ある山。作業中には昔の貨幣も出てきた。行場だからね。
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信仰の山にふさわしい景色も何度も見た。
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北海道にはいないヤツ。会うと嬉しいです。
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いいねえ。
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自分が二十歳くらいの頃、60歳くらいの土方は凄い技術の人が多かった。
今は機械を使える人が技術ある人と言われるけれど自分はそれだけとは思わない。
身体の使い方、シンプルな道具の使い方、昔の土方はそれが凄かった。
機械を動かす技術も大変だけど身体を動かす技術は覚えることが本当に大変です。
そしてここに、久しぶりに昔の土方がいました。
こういう人と作業するのは本当に楽しい。もうこういう人はいなくなるのかな。
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器用な人もいました。副業でいろんなものを作っている。
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徳島県剣山、楽しかった。
また施工しに行きたい場所です。
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