層雲峡、パノラマ台での登山道整備講習会

6月23日
今年の一回目の登山道整備講習会が行なわれました(全3回)。
毎年、環境省が主催している山岳関係者に向けた整備技術の講習会です。

今回はあいにくの雨の中でしたが、23名の方々が集まってくれました。
いつも登山道整備に関わっている林野庁の方々をはじめ、パークボランティア、、
ガイドさん、ロープウェイの皆さん、遠くは余市から整備をしに来てくれた方もいました。

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小雨、路面はぬれて斜度もあるからすべるスベル。
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30分ほどで施工箇所に到着・・・・直前が一番滑る。
ササを、草を、根っこをつかみながらようやく登れる場所。
要整備です。
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晴れていれば少し滑るなぁ 程度ですが、雨の日はきつい。イメージ 4


施工前、皆さんきれいなカッパです。
作業終りにはいい感じでドロドロでした。
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今回のテーマは木柵階段の施工バリエーションです。
石材は全くなし。木材と土壌のみでの施工です。
近自然登山道工法の秘伝の技「キソボク」を使うには太く長い一本物の木材が必要。
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きつい作業になるかと思いきや、今回は猛者が多かった。
木材はあっという間に製材され、土壌はどんどん運ばれてきます。
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けっこう新しいカッパもドロドロに。すみませんね。助かりました。
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材料は集まるけど木柵階段のための木組みが追い付かない。
解説しながら、微妙なバランスを考えてもらいながらの施工です。
段差の高さ、歩きやすさ、見た目の印象、下りは大丈夫?等々
曲りのある自然木を使いながら一段一段の作業です。
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チェンソー作業もやたらと細かく極めていきます。
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作業しながらもすべるすべる。
滑って土を削りまくる。
今日みたいな日に歩くと踏圧侵食が激しく起こる、ということがよくわかる一日。
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今回の試験施工の一つ。
木の下側から土壌が逃げないように、ヤシ繊維でできたマットや
土嚢、繊維の束を使ってみました。
東北での施工では実績がある方法だそうです。
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施工後はこんな感じに・・・・大丈夫かな。
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9時に出発して15時には作業完了。
こんな感じの滑りやすかった場所に・・・
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約20段の木柵階段ができました。
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片側が谷状地形などに有効な施工方法です。
「基礎木」を使って土台を作り木を固定していく方法。
杭固定よりは強固になり、崩れにくく、土壌も逃げにくくなります。
また、横断木柵の配置にも登山者の心理を考えた設置方法がとられています。
この方法は同時に流水にも対応できます。
いつか紹介しようと思っています。



23名が3か所に分かれての作業。
上部には「キソボク」の応用が施工され、
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下部には従来工法の杭による木階段も設置されました。
歩きやすさや強度など、今後の比較ができそうです。
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帰りがけには「まるで別の道になった」との声が。
確かに滑る不安はなくなりました。
今後、周囲の植生が復元してきたときに、この方法が正解だったのかがわかります。
今後の変化が楽しみです。
この仕事をしていると楽しみな場所が増える増える。
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作業に参加してくれた皆さん、ありがとうございました。
猛者が多かったせいか、この日だけで50段以上の木柵階段が設置されました。
講習会であったり、整備の集まりであったり、こういう機会があるだけで
道が直るんです。一般の方々も含めた整備の場はこれからも作っていきたいと思います。
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雨が全く気にならないほど充実した一日でした。
また、皆さんと施工したいですね。