裾合平、当麻乗越、中岳 ぼちぼちと
6月28日
巡視業務として裾合平方面を歩いてきました。
その年の最初に歩くときはいつもですが、前の年に施工した場所がどうなっているか
不安と期待がめぐります。
裾合方面は、一人で、あるいは講習会で、ボランティアとしてなどいろいろな施工をしています。
みんなで作った場所はどうなったでしょうか・・・。
姿見園地 ここではボランティア作業で木柵階段を作りました。
参加者は20人以上いました。
だれが作ったか覚えていますか?使いやすく自然に馴染んできてます。
良い形の階段に見えます。崩れも全くなし。
いい仕事です。
皆さんに大量の石材を運んでもらった場所。
難しい施工だったのでボランティア作業の後で施工しました。
毎年雪解け時に崩れていた場所ですが、今年は崩れはありません。
谷側(左側)に大石を連ねて階段を保護しています。
皆さんの運んでくれた石材で今年の崩れはありませんでした。
こちらは園地を通り裾合平方面に入ったところ。
整備講習会での仕事です。
問題なし。いい感じです。
少々やりすぎた感のあった導流工。
水の流れた跡がなく、やはり少々過ぎたる施工だったかな。
こちらも講習会時の導流工。
いまいち機能していません。原因は・・・
水が施工物の隙間を通ってそのまま流れていました。
原因は間詰め処理が少なかったこと。
だけどこれは想定内です。
近自然工法は施工直後が完成ではなく、
メンテナンスをしながら機能させていくことも基本です。
今度雨の日に間詰め処理をしておきます。
こちらは山楽舎ベアーの佐久間さんが企画した
「たまには山に恩返し」ツアーでの施工です。
崩れかけていた石組みを、崩れないようになおかつ歩きやすく施工しました。
これなんかはとってもいい感じです。
曲がった木材を利用しているので木の根が自然に這っている感じ。
この砂利の面に土壌が詰まってきたら完璧です。
そのうち雨水が土壌を運び、少しづつ詰めてくれます。
詰まった土壌に植物が生えてきたら・・・完成かな。
仕上げは自然に任せます。
自然は人の作業よりよっぽどいい仕事してくれます。
秀逸なのはこれでした。
たしかこれはほとんど作業経験のない方々が自発的に施工した場所です。
作業の手順は少々解説しましたが、勘のいい人がいたんでしょうね。
はっきり言って、業者の施工よりも趣があってなおかつ強固にできています。
登山道整備は誰でもできます。
肝心なのは自然を理解する感性でしょうか。
道の状態を気にしつつ進むと、今年は雪渓が多く残っています。
いつも残雪の多い場所
比較してみました。 今年の状態
昨年の6月28日 今年は大きな岩の頭しか見えません。
裾合平分岐もこんな感じ。
当麻乗越の方向へ行くと半分以上はルートが出ていません。
所々のピンクテープが目印ですが、ガスったらそれもわからないでしょう。
ピウケナイ沢
思ったより水量が少ない。
長靴で大股に徒渉できました。
気温が高い時や午後には水量が増えそうです。
雪渓も繋がっている場所はありますが、薄いので危ないですね。
当麻乗越。
良い景色。
前日の27日はこちら側(愛山渓)で草刈りしてました。
裾合平分岐から中岳方向へも残雪が多いです。
木道が出ていたり、雪だったり。ガスったら緊張します。
ここでも施工箇所が・・。
パークボランティアの方々と行なったテンサー工。
すべて予想通り。ほとんど補修の必要もなく、ばっちりと機能していますよ。
背面には土壌が溜ってきています。
いつかこの水面の形で土壌が溜ると思われます。
雪渓を歩いて気になったのが表面にいる虫。
こんな感じですべての雪面についています。
その数、数億匹なんてもんじゃないな。よく見ると凄い数。
中岳温泉付近。雪はあれども気にならない傾斜。
中岳温泉。
良い温度、今年は少々広い湯船。いつでも入れます。
中岳の方向へ行くと高山植物も咲いています。
見ごろなやつもいる。みねぞう君。
こいつの名前には親近感があります。
中岳分岐から間宮岳の区間。
今回はここが大変なことになっていました。
大きな侵食箇所が見えています。
ここも・・。
間宮の城壁の中の石組み階段も大きな崩れ。
これらは踏圧や流水による侵食ではないような気がします。
以前この付近で起こった凍土の融解による侵食のような気がします。
この侵食が始まると大きなブロック状にバサバサと植物群落が崩れてきます。
今の時点で多少でも施工しておけば何とかなる気もします(方法はいくつか見えている)。
ただし、大雪山では例年8月初旬から中旬にかけて豪雨があります。
その時までに補修できなければ恐ろしい状態になりそうです。
何百年か何千年か(ここはもっと短いかな)かけてできた土壌が
豪雨の一日で崩れて流れてしまう可能性があります。
近自然工法の視点で山を歩くと
楽しいことも見えますが、これから起きることも想像がつくようになります。
施工がしたいです。