近自然工法
近自然工法の先生、福留脩文さんが亡くなって一年がたちました。
今も現場で、先生であればどう見るだろうか、どう施工するだろうかと
思いつつ施工するときがあります。
福留先生は暇があれば近所の川を何時間でも飽きずに眺めていたと聞きました。
今年もシーズン中はほとんど山の現場で考えてきましたが、
先生が言われた「自然の中に答えがあるよ」
という言葉の意味が少しだけ見えてきたような気がします。
近自然工法の視点で時間をかけて山を見たり試行錯誤していると
自然の「なるようになっているバランス」は本当に凄いと感じるようになりました。
生態系を理解してそのバランスが見えてくると、崩れているところ、直すべき場所が
はっきりとします。それは見た目を整えることとはずいぶん違っているような気がします。
侵食を止めバランスをとると自然が施工物を守ってくれるようです。
生態系のバランスと言いましたが、今は経験からくる感覚のような感じです。
まだまだ漠然とした感覚でしかないのですが、芯の通った確かな感覚ができました。
これからはこの感覚を説明できるようにしていきたいと思います。
この感覚ができてからは、
こんな場所でも
こんな場所でも
自然を回復方向にもっていくことができる
と思えるようになりました。
最近、整備方法を教える機会が多くなりました。
木柵階段の施工中、「なぜこの形が良いのか」
と聞かれたことがあります。
瞬間、木柵の角度による水の流れ方や豪雨の時の水の減り方、
人の登る位置、下る位置その時の受ける心象など
色々な答えが過りましたが、言った言葉は
「かっこいいから」でした。
思えば先生に同じ質問をした時にも
「かっこいいじゃろ」と言われたのを思い出しました。
先生はもっとたくさんのことが見えていたのだと思いますが・・。
自然の中の形はとても「かっこいい」ものです。
機能だけでなく、そのカッコよさの意味が見えてくると
良い施工ができるようになる気がします。
自然のかっこよさ、美しさが理解できる施工者になりたいものです。