小笠原での仕事① オガグワの森・・その後・・

北海道山岳整備の岡崎です。

今期の小笠原作業では今までになかった場所に関わることが出来ました。
オガグワの森を歩く道を作る仕事です。
以前お伝えした島民参加の道つくりイベントもありました。
その続きを少しだけ。

実は、作業前まではかなりアバウトな話しか聞いておらず、
この道に関してのしっかりした計画がわかりませんでした。
でもそれが良かったのかもしれません。
なんせ、すべて現場合わせ。
設計図なんてあったら、自分にはできなかったでしょうね。

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主催の村役場からは
「これから島民の方々が関わって作っていく森にしたい」との要望。
そういうアバウトな感じのほうがありがたい。
だけど、地域の人が気にしてくれる場所にするには最初が肝心。
最初がテキトウになると、企画自体がテキトウだと思われる。
関係者に無理を言って、できる限りをやらせてもらいました。
今秋にオガサワラグワの植樹があるポイントまでの道を作りたかったんです。

イベントのあと、3日間ほど追加施工を行ないました。
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やったことはいつもと同じですけどね。
基礎木を配置して・・
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階段になる横断木を設置。
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砂利や石を運び入れて、詰め、階段状にしていく。
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斜度があり、滑りやすい斜面に道をつけるには、長い木材を使います。
皆さんに頼んで運んでもらいました。
最初はこのくらいの長さだったのに・・
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だんだんと長くなる木材。
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普通の土木作業ではこんなものは使わないだろうね。
楽しそうに運んでいるのは助かります。
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設置するのも一苦労ですが、この方法はここが肝心。
何度もやり直して良い位置を決める。
この基礎木の設置で作業の大半が決まります。
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自然木は曲りがあるのが普通。
曲りを活かした施工を考えなくてはなりません。
発想は大胆に。
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自生している植物も傷つけないように配慮しつつ、作業は繊細に。
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荷重を下に伝えるように、うまいこと配置しなければ。
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曲がっている基礎木もぴったり繋ぐ。
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たまたまだけど、バッチリです。
こうならなくてもほかの手段もあるけどね。
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立ち木をうまく回り込むには曲がった基礎木が必要でした。
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良い感じに歩けそうです。
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近自然工法は自然の現象を利用します。
自然界の現象に「杭」なんてありません。
「引っかかる」という現象を作りました。
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杭を使わず、引っかかりで固定するには
チェーンソーでの小技も必要です。
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時には石を砕いたりも。
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斜面に階段ばかりでは足を休ませることが出来ません。
ときにはスロープを作って斜面の登りに緩急をつけます。
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横断の丸太は表面を均す。
滑りにくくするためと、踏み面を広くするため。
斜面に合わせて均す角度も微妙に変化をつけます。
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そんな作業をアカポッポがのんびり見ておりました。
作業中、2度ほど見かけました。
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作業の様子を見に、村長さんと副村長さんが来てくれました。
村長さんからは「思い入れのある場所にしていきたい」との言葉。
単年度では難しいですが、島民参加を続けていくことで自然とそうなると思います。
頑張りたいです。
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副村長さんはそのまま作業に参加。
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最後の日には施工した個所を点検。
イベント後の3日間の作業には、役場の方々のほか
ガイドさん、環境省職員、東京都レンジャー、島民有志などなど
たくさんの方々に手伝っていただきました。
数えると100段ほどの階段が出来ていました。
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オガグワの森は赤線の内側。
道のイメージは緑の線。
今回はそのうち黒線部を施工しました。
全体の2割も進んでいません。
まだまだ出来る部分があるということ。
楽しみがあるということ。
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滑りやすい斜面に、基礎木を配置して階段になるまで。
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とても歩きやすくなりましたが、自然がこれを良しとするかはわかりません。
使った資材は外来種の「アカギ」。
腐食に弱い時もあり、シロアリが繁殖するとひとたまりもないようです。
ですが、繁殖力が強く、刻んだ丸太からでも芽が出るほどの木。
うまくいけば生物資材として定着してくれるのですが・・
あとは自然次第です。
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最後に太い木材が余りました。
もったいないので・・
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切り株を利用して・・
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受けを作るのね・・
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切り株に合わせると、置いただけでちょうど良く動かなくなりました。
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座ってください。
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誰でも歩けて、崩れない道になりますように。
オガサワラグワの植樹だけでなく、
楽しくするアイデアはたくさんあります。
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皆さんと考えながら作っていきたい森ですね。