小笠原作業・・最大の荷上げ作戦
小笠原作業が始まり約一か月がたち、父島での作業が完了しました。
毎年新たな現場があり、新たな発想と新たな技術が必要になっています。
毎日、「ここはどうしよう、明日はどうやろう」と考えてばかりで
たいして体は動かしていないのに部屋に戻るとぐったりでした。
でもねぇ、難しいほうが楽しいんだな。
歩道下の石組みが崩れていた場所
このくらいなら簡単に補修
いかに完成イメージを正確に伝えることが出来るかどうか。
地元の方々は施工を、自分は伝えることが仕事でした。
なかなか終わらなかった石組み補修の大場所も・・
だいたいイメージ通りに完成です。
こんなイメージだったんだな。
そして今季最大の労力が必要だった場所。
この足場板の交換です。
足場板が腐食してきたこと、世界自然遺産の歩道に足場板は置きたくないことが交換の理由です。
確かに工事現場の足場だから見てくれは良くない。
見た目を気にする感性にはとても共感します。
だけど・・大変だ。やるならば橋にしなければならない。4mの橋。
木しかないけど、あの重たいモクマオウを運ぶのか・・。
モクマオウを3本連ねて橋にする案。
現場までは約1km。どうやって運ぶか・・。肩担ぎは危険だし・・。
とは言え、昨年にだいたいの運ぶイメージはいくつか決めていた。
そのうちの一つ、ロープで引っ張る作戦で行くことにしました。
6人がかりで木を少し浮かせてひたすら引きずる。
時々難所もあるけれど・・
何とかなるもんです。
屈強なメンズも・・そうでないメンズも頑張ってます。
余裕のリュウちゃん、本気のオガちゃん。
あの岩場をどうやって乗り越えるか、
あのカーブはどうするか、
いろいろと考えます。
楽しそうだけどね。
これを3回往復。
自分は一緒に運びたかったけどひたすら我慢して見てるだけ。
すべて地元の人にお任せでした。
往復するたびに慣れていき、ローテーション、指示出し、力加減、などなど
役割分担が出来、どんどんと無駄がなくなっていくのが見ていてよくわかりました。
なんかかっこいいねぇ。
なんかかっこいいねぇ?
一日いっぱい荷上げをした次の日、
今度は橋架けの作業です。
ガイドさん、役場職員、島っ子、環境省AR、東京都レンジャー
協働作業ですね。
けっこう危ない作業場所。
チェンソーが得意な人がいたらすぐにお願いします。
いつもながらかなり細かい作業を要求しますがね。
木は自然木。
できるだけ真っすぐの木を選んだけど3本並べると隙間ができる。
いくつも組み合わせてできるだけ隙間ができないように配置します。
木を据えるときにも掘ると根が出てくる。
根を切らないように根に合わせて木を削る。
ボス竹澤氏は上手だったなあ
環境省、役場の女性職員が木の土台を作る。
頑張れ、オガちゃん!!
隙間がなくなるように微調整。
とにかく時間をかけて微調整。
仮止めして、チェンソーで表面を均し・・・
カスガイで留めて・・
モクマオウは固い・・
ハンマーは腕力とてこの原理だぜ。
当たる瞬間に小指を締めるのさ。
いろいろな苦労の上にようやく完成。
歩くに不安はなく、強度もあると思いますが
これからの変化はわからない。点検しつつ使っていくしかないね。
まあ腐食が見えて来たら交換だ。また楽しい荷上げが出来る!
小笠原の作業では年々難しい作業や大掛かりな作業をやるようにしています。
ふつうは山の中で1トンくらいの石を動かしたり、
4mの木材を持ち込んだりは考えないと思います。
だけど、やればできるんです。
そして、できることがわかると今度はそれが基準になります。
どこかで大きな崩れがあっても、じゃあ大石を動かして治そうとか
長い木材を運ぼうぜ、という発想が出来てきます。
この木材はすべて地元の人が運びました。
あの大石も動かして設置したんです。
やる前から「無理だよ」と言わずに
「やってみようぜ」と思ってくれるようになったら嬉しいですね。
そういう人との作業はとっても楽しいからね。
以上で今年の父島作業は完了。
今年はいつも以上に人情が心に沁みました。
関わってくれた皆さん、ありがとうございました。
明日からは母島作業が始まります。
こちらも大変だぜ。