八ヶ岳での登山道整備講習会

11月17,18日に長野県で登山道整備講習会を行なってきました。
昨年、長野県の方が大雪山の登山道を視察に来てくださり、
「機会あれば呼ぶよ」と言ってくれていたのが実現しました。

とは言え、実際の講習は1日だけ。
しかも2時間の屋内講習と2時間の屋外講習のみ。
前日の夕方に施工現場を下見、というのも、かなり焦ります。
事前連絡では木はあるけど石は無いよ、と言ってるし・・・。
長野県は山岳のメッカ、維持管理にも歴史があるはず・・・。

「近自然工法」の可能性がどれだけ伝わるだろうかと、ものすごく心配でした。

本当は八ヶ岳での施工を希望されていましたが、雪や氷の登山道の可能性もあり
ふもとの市民の森の道を登山道と見立てて施工することになりました。

こういう泥濘はどうするのか・・
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急傾斜の段差処理とは・・・
この2か所の施工が今回の屋外講習です。
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現場に入るまではとても不安でしたが、
現場を見ると心配事はどうでもよくなりました(いつものことですが)。
こんなに資材があるではないか!
あれもできる、これも使える・・
これを見せれば視点と発想の違いを見せられるかな・・
こうすれば2時間以内に施工が出来るかな・・
瞬時にまとまりました。

あとは人。どんな人が来るのかな・・
自分より技量がある人いれば、講師として恥はかくけど勉強すればいいや・・
とか思いつつ(これもいつものこと)。

下見が終わると、長野県の方、茅野市の方が諏訪大社を案内してくれました。
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茅野市の「御柱祭」はあの怪我人がよく出るやつです。
17mもある木に乗っかって斜面を駆け降りる、あの祭りです。
説明してくれた人は、祭りが近づくと皆気違いになるんですよ、
とか言いつつ誇らしげに見えました。
歴史があることは良いですね。
これがあの「御柱」か~。
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その日の夜には飲み会。
明日の講習会を考えると、本気で飲めないんですけど・・
締めには気合のこもった掛け声が・・・これも歴史ですかね。
講習会後にまた飲みたかったですね。
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屋内講習は茅野市役所で。いい天気です。
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参加者は、国、市町村、山岳関係者総勢30名ほどいたでしょうか。
自分はしゃべるのが苦手なうえ二日酔いです。
さっさと外に行きたかったです。
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90分しゃべって、ようやく外へ・・
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現場へ行くと何とかなります。
いつもの通り、説明して、やってもらう。
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30人もいると人は余るのだけど、「見る」のも講習ですね。
最初は見ていた人もやることがわかると動き出します。
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どの地域にも必ずいる頼りになる人。
玉切りにして・・縦に切って・・すぐにやってくれます。
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いつもと違ったこと。
参加者の手際が抜群でした。
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少しの説明でかなりを理解してくれました。さすがです。
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泥濘処理の例として施工。
ふつう泥濘があると木道を真ん中に置きたくなります。
脇に小高い場所があればぬかるまないよ・・という発想。
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道には傾斜をつけて・・法面に向かって・・木柵の固定は・・
中に入れる資材は・・これが変化すると・・今後はこうなるはず・・
伝えられなかったことも山ほどありましたが・・・。
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段差処理の事例。
この斜面に階段を付けると・・
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こうなりました。「基礎木」という発想。
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杭を使わず・・土壌の逃げをなくし・・木材の強固な固定を・・
水が自然に流れ・・歩きやすさは・・
段差処理の一例ですが、発想の違いを理解してもらえればありがたいです。


1時間半ほどで施工完了。
少しの説明で見事な手際でした。
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自然の中にある原理を使って施工する、という視点。
そこから起きる発想をちょっとでも伝えることが出来れば十分です。
可能性がわかれば次があります。
どう思われたかなぁ。
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講習会が終わったら即東京へ。
結局八ヶ岳ってどこだっけ。詳しく聞くのも忘れてしまった。
いつか登りたい・・というより整備しに来たいです。
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緊張し、酔っ払い、楽しい施工が出来た講習会でした。
関係者の皆様、ありがとうございました。

帰りの駅弁が美味かったなぁ。
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