小笠原父島遊歩道整備・・・石組み

小笠原に来て半月が過ぎました。
北海道の地元、当麻町は今日はマイナス20℃くらいだったとか。
小笠原の最低気温は18℃でした。
夜は涼しくないと眠れないので、いつも窓全開で寝ています。


イメージ 1


今回の作業では今までと違う大場所があります。
昨年の豪雨で橋が流されてしまった場所。
これを何とかしなくてはいけない。
イメージ 2


どうやら鉄砲水でやられたような跡が見られました。
地元ガイドさんたちが歩けるようには補修していましたが、
周りの法面土壌の崩れも見られるので
石組みでの施工をすることにしました。
イメージ 32
いつもは侵食場所を見た瞬間に施工完成イメージが浮かぶのですが
この場所は20分ほど考え込みました。
施工量、資材量、労力などを想定し、細部まで手順を考え、
最後の一段まで頭の中で施工します。
自然石を使うから少々のズレは出ますが、まあなんとかなるでしょ。


使う資材を切り出して、みんなで荷上げ。
石組みがメインでも木材も使います。
長いねェ、重いねェ
イメージ 4

毎日がこんな感じですが、
役場の方々、猫捕獲隊の若者、ガイドさんたちの協力があるので心強いです。
イメージ 3

こんな曲がった木材はどこに使うんでしょうねェ。
イメージ 5

「たくさん運びます」「一番重いヤツいきます」
と言ってくれる人がいます。
そういう人がいると、チームの雰囲気が良いほうに変わります。
チームで作業するときにはそういう人は絶対に必要な人たちですね。
イメージ 6

長物はこんな感じで。
懐かしいねェ。10年前の大雪山でも福留先生の研修会で
こんな絵がありました。
10年たって小笠原でまたできるとは・・。
イメージ 7
<10年前の大雪山・福留先生の近自然工法の研修会にて>
イメージ 33


大雪山では苦しんだ思い出のほうが多いけれど、
小笠原では苦しそうに作業する人がいない。
カメラを向けると笑っている。結構大変なんだけどね。
イメージ 8

もうちょっと歯を食いしばった顔を撮りたいのだけど・・。
もうちょっと重くしたほうがいいかね。
イメージ 9

変な形の木材も楽々と運んでくれます。
イメージ 10


作業は沢に詰まっていたごみを取り除くところから始まります。
次の鉄砲水が起きないように、少しでも配慮することと、
その下にある石材を使いたいのが目的です。
イメージ 11

数百キロはある石をテコ棒で動かして・・
イメージ 12

チェーンブロックで持ち上げて方向を変えて、
エイヤっと落とすと・・
イメージ 13

要の場所に大石がいい感じに落ちました。
これをテコ棒で調整して落ち着けます。
何事も要になることに時間をかけることが大事。
これがしっかりとできていると後が早い。
ここから積み上げ。
イメージ 14

積み上げだけでなく、歩行路になる飛び石も作る。
これもすべての石を組んで安定させるので
先のことを考えて、今を配慮しなければなりません。
イメージ 15


この石組み場所では常に7~9人ほどが作業します。
一見皆さん土方のように見えますが、事務系の人が半分。
造園経験者が一人いるだけで、土木に明るい人は少ない。
イメージ 16

それでも・・

石を動かせ!
イメージ 17

木を打て!
イメージ 18

大石をハツれ!
イメージ 19

石を詰めろ!
イメージ 20
などなど、全力で作業してくれています。

また、こういう作業も大事。
細かい石を選別して手元に届けてくれる人。
イメージ 21

きっちりと細かい作業をしてくれる人。
仕上げはお任せです。
イメージ 34


木材切り出しも合わせて二日半。
法面の崩れが気になっていた場所が・・
イメージ 22
施工後、石組みで保護されて、歩行路もしっかりした飛び石が収まっています。
イメージ 23


施工前は今後の崩れも考えられた場所ですが・・
イメージ 24
ワイルドな石組みが・・。豪雨でも崩れないでしょう。
イメージ 25


歩行路が崩れそうだった場所も・・
イメージ 26
石組みと木材でしっかりと。大石の踏み面がいい感じです。
イメージ 27


そうそう、あの曲がった木材です。
実はこの場所のために選んで切ったものでした。
イメージ 28

段差処理と法面保護をしたい場所。
岩盤があったり、木材の固定が難しいと思っていた場所でした。
イメージ 29
木材は木の根と石材で固定。テンションがかかるとますます強固になる配置です。
イメージ 30


自分は石工ではないので石組みの細かい技術はあまり知りません。
ですが、自然の中にある石の固定をよく見ていると
いくつかの基本的な構造がはっきりと見えます。
その基本からそれないように施工してみました。
一緒に施工してくれた人には伝わったでしょうか・・。
重要なのはとてもシンプルなことだったのですがね。
イメージ 31
豪雨の時に施工の良し悪しがわかります。
その時に判断してください。
ケガなく終わったのが、まずは良し。

今回父島作業にはもう一つの大場所があります。
それも石組み。
このメンバーで作業できるならとても楽しい作業になりそう。
また、頑張りましょう。