小笠原父島遊歩道整備・・・石組み
小笠原に来て半月が過ぎました。
北海道の地元、当麻町は今日はマイナス20℃くらいだったとか。
小笠原の最低気温は18℃でした。
夜は涼しくないと眠れないので、いつも窓全開で寝ています。
今回の作業では今までと違う大場所があります。
昨年の豪雨で橋が流されてしまった場所。
これを何とかしなくてはいけない。
どうやら鉄砲水でやられたような跡が見られました。
地元ガイドさんたちが歩けるようには補修していましたが、
周りの法面土壌の崩れも見られるので
石組みでの施工をすることにしました。
いつもは侵食場所を見た瞬間に施工完成イメージが浮かぶのですが
この場所は20分ほど考え込みました。
施工量、資材量、労力などを想定し、細部まで手順を考え、
最後の一段まで頭の中で施工します。
自然石を使うから少々のズレは出ますが、まあなんとかなるでしょ。
使う資材を切り出して、みんなで荷上げ。
石組みがメインでも木材も使います。
長いねェ、重いねェ
毎日がこんな感じですが、
役場の方々、猫捕獲隊の若者、ガイドさんたちの協力があるので心強いです。
こんな曲がった木材はどこに使うんでしょうねェ。
「たくさん運びます」「一番重いヤツいきます」
と言ってくれる人がいます。
そういう人がいると、チームの雰囲気が良いほうに変わります。
チームで作業するときにはそういう人は絶対に必要な人たちですね。
長物はこんな感じで。
懐かしいねェ。10年前の大雪山でも福留先生の研修会で
こんな絵がありました。
10年たって小笠原でまたできるとは・・。
<10年前の大雪山・福留先生の近自然工法の研修会にて>
大雪山では苦しんだ思い出のほうが多いけれど、
小笠原では苦しそうに作業する人がいない。
カメラを向けると笑っている。結構大変なんだけどね。
もうちょっと歯を食いしばった顔を撮りたいのだけど・・。
もうちょっと重くしたほうがいいかね。
変な形の木材も楽々と運んでくれます。
作業は沢に詰まっていたごみを取り除くところから始まります。
次の鉄砲水が起きないように、少しでも配慮することと、
その下にある石材を使いたいのが目的です。
数百キロはある石をテコ棒で動かして・・
チェーンブロックで持ち上げて方向を変えて、
エイヤっと落とすと・・
要の場所に大石がいい感じに落ちました。
これをテコ棒で調整して落ち着けます。
何事も要になることに時間をかけることが大事。
これがしっかりとできていると後が早い。
ここから積み上げ。
積み上げだけでなく、歩行路になる飛び石も作る。
これもすべての石を組んで安定させるので
先のことを考えて、今を配慮しなければなりません。
この石組み場所では常に7~9人ほどが作業します。
一見皆さん土方のように見えますが、事務系の人が半分。
造園経験者が一人いるだけで、土木に明るい人は少ない。
それでも・・
石を動かせ!
木を打て!
大石をハツれ!
石を詰めろ!
などなど、全力で作業してくれています。
また、こういう作業も大事。
細かい石を選別して手元に届けてくれる人。
きっちりと細かい作業をしてくれる人。
仕上げはお任せです。
木材切り出しも合わせて二日半。
法面の崩れが気になっていた場所が・・
施工後、石組みで保護されて、歩行路もしっかりした飛び石が収まっています。
施工前は今後の崩れも考えられた場所ですが・・
ワイルドな石組みが・・。豪雨でも崩れないでしょう。
歩行路が崩れそうだった場所も・・
石組みと木材でしっかりと。大石の踏み面がいい感じです。
そうそう、あの曲がった木材です。
実はこの場所のために選んで切ったものでした。
段差処理と法面保護をしたい場所。
岩盤があったり、木材の固定が難しいと思っていた場所でした。
木材は木の根と石材で固定。テンションがかかるとますます強固になる配置です。
自分は石工ではないので石組みの細かい技術はあまり知りません。
ですが、自然の中にある石の固定をよく見ていると
いくつかの基本的な構造がはっきりと見えます。
その基本からそれないように施工してみました。
一緒に施工してくれた人には伝わったでしょうか・・。
重要なのはとてもシンプルなことだったのですがね。
豪雨の時に施工の良し悪しがわかります。
その時に判断してください。
ケガなく終わったのが、まずは良し。
今回父島作業にはもう一つの大場所があります。
それも石組み。
このメンバーで作業できるならとても楽しい作業になりそう。
また、頑張りましょう。