斜里岳での整備学習会

9月27日

斜里岳で登山道整備の学習会に参加してきました。
斜里岳百名山の一つでもあり、多くの登山者が登りますが、登山道の侵食も少なくありません。

そこで「清里観光協会」の方や「斜里岳友の会」の方々が中心となり、
「近自然工法」による整備を試してみよう、いうことになりました。

      今までも地元の方による整備が行なわれていましたが、侵食規模が大きくなると
                     施工はとても難しくなります。
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6月に下見をした時には土嚢や木柵工での整備がありました。
なかなかの苦労がみてとれます。破れた土嚢。
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学習会での施工箇所は樹林帯。
倒木は多くあり、近くを流れる川には石材が多くあります。
「近自然工法」の基本はできるだけ付近の資材を使うこと。
資材はあり、参加者のやる気もスゴイ。
これはできないはずがない。
考え方やポイントを伝え、斜里岳友の会の方々に施工してもらいました。
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この辺りの地質はサラサラの火山灰。
表土が無くなると侵食が激しく起こります。
こんな場所を倒木と石材で・・・
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こんな感じに。踏圧による崩れはなくなると思います。
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段差の激しい箇所。
樹林帯によくある「根系裸出」というやつです。
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約1時間でこんな感じに。
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今までは杭を打って木材を止めていたようですが、
岩盤があって杭が使えない場所が多くあったようです。
大丈夫、杭を使わなくても木材の固定方法はたくさんあります。
この施工でも杭は使っていませんが、強度は抜群。


現場にある倒木を使うと・・
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木の曲りを生かすととても雰囲気ある階段に。
うまく作ると施工したことがわからないほどになります。
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自然に近づく施工、だから近自然工法。


細かいポイントをきっちりと施工していくのが基本。
今までの施工よりは考えることが多い。でもそれが面白い。
こんな場所にはどんな階段が良いかな・・。
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強度だけでなく、とても歩きやすい。考えてるからね。
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施工場所はいろいろです。だけど、考え方は同じです。
こんな溝になってしまった場所でも・・
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からしっかりと積み上げると、できるんです。
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今まで滑るし狭いし大変でしたが、快適に歩けるようになりました。
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施工では考え方と視点、イメージ通りに作る技術も必要です。
考え方と視点は伝えますが、作る技術は参加者の人も持っている。
今回の参加者は迷いなくどんどん施工してくれました。
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そして大変な石運びも黙々とこなしてくれました。
考え方や技術があってもこの労力が無ければ仕事は出来ないんです。
これは技術や考えよりも大事なものです。
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狭い箇所では役割分担。
良いチームワークでした。
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わずか数時間で3か所の厳しい場所に十数段の段差処理ができました。
時々通る登山者が良くできているかを教えてくれます。
気にせずに、思った通りの場所を歩いてくれたら成功。
すべての人が気にせずに歩いてくれました。
施工者としては嬉しい限りです。
あとは自然がこの施工の良し悪しを教えてくれます。
悪い箇所は崩れ、良い箇所は保護してくれます。
その変化を見逃さないでください。
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現地講習の後は登山口にある清岳荘にて机上講習会。
現場で実施したことの意味を机上で確認。
そのあとの飲み会が楽しかったですね。
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このルートにはまだまだ厳しい場所がたくさんあります。
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だけど、こんな場所でも侵食を止めることはできると思います。
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この施工「近自然工法」は地道に続けることが大切です。
その場合、地元の方々のやる気や郷土愛が一番大事になります。
一番大事なものはしっかりと確認できました。
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いつかまた、施工に行きたい場所になりました。