北海岳の登山道整備

8月29日

北海岳付近で起きている侵食を止めるため、有志が集まり整備が行なわれました。
こういう整備は日にちが決まっているため、いつも天候が気になります。

           下界は曇りの中、ロープウェイを登ると雲を突き抜けました。
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見事な雲海。いい天気になりました。
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20年ほど前、黒岳石室の管理人をしていました。
石室に泊まり、毎日のように荷上げをし、通勤の風景でした。
この風景を見るととても懐かしくなります。
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石室から北海岳に向かいます。
途中もけっこう崩れている箇所がありますが・・
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作業道具、木材、鉄ピン、土嚢袋、等々を持ちてくてくと。
石室からは40㎏ほどの重量になりましたがどちらかと言えば平坦な道。
いつもよりしんどくない。
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石室からは一般登山者も整備のお手伝いをしてくれます。
資材の土嚢袋を担いで北海岳まで運搬してくれました。
これからの整備はは登山者の力も重要な戦力になります。
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今回の現場がこの侵食。
流水によって大きくえぐられた登山道。
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これは昨年の豪雨でできた侵食です(26年8月の同じ場所の状況)。
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昨年の豪雨前はこの侵食はありませんでした。
一回の雨でこの被害になった可能性があります。
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原因は、この上部で植物帯に排水されていた数か所が削られて排水されなくなり
雨水が登山道を集中して流れるようななったため、土壌侵食が増えました。
下方部では削られた土砂が堆積し、水の流れる道が登山道のほうへと
変わってしまったため新たなガリー侵食が出来てしまったと思われます。
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土砂堆積箇所のすぐ上にはこんな侵食箇所があります。
ここも昨年から数十センチは流水で掘られたようです。
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高山帯の表土は薄く、ほとんどが砂礫でできています。
手で触っただけでボロボロと崩れる状態。
水の流れには非常に弱いんです。
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なのでやるべきことは、まずは排水処理。
今まで流れていたであろう箇所を探し出し、そこへ排水させます。
施工前
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施工後、木柵による導流工
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よく見ると今までは左の斜面に水が流れていた跡が見えるんです。
施工前
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施工後
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排水は分散させることが基本。
溜めて流すのはリスクが大きいんです。
施工前
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施工後
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メインの箇所はこんな感じに
施工前
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施工後・・・施工中ですね
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矢印方向のハイマツ帯には、もともと水が流れていた跡があります。
そこに水を戻す施工です。


今回の作業は、環境省林野庁・北海道・一般参加、等々
様々な人が集まっています。
林野庁GSSスタッフは、さすが、整備に慣れたもの。
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案外きつい作業。
土運び。とにかく重い。
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環境省アクティブレンジャー
平気な顔して石室~北海岳を2往復。強い!!
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今回はヤシ土嚢を多く使いました。
これらは東北の登山道整備でよく使われているそうです。
昨年のトムラウシ講習会で東北の整備に関わっている方に
サンプルを頂き使用したところ、けっこう良いかもしれぬ、
ということで今年は大雪山の様々な箇所で使われています。
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これらを黒岳石室や現場まで運んでくれたのは関係者だけでなく
多くの一般の登山者が協力してくれました。
これからは登山者の協力も大きな力になります。

整備の時には呼びかけをすると思いますので、
土嚢を一個運ぶだけでも、気軽に参加してもらえればありがたいです。

この整備は29日30日と連日行われました。
自分は30日には参加できませんでしたが、
木柵階段の設置により歩き難さが解消されたようです。
参加された皆さん、お疲れさまでした。