今年の仕事⑤・・・みんなで整備

大雪山ではボランティアや有志の方々による登山道補修も行われています。
 
自分も山に生活を支えてもらっています。また、山は職場でもあるので
月に1,2度はボランティアで山に関わるようにしています。
 
参加者もかなり熱い人がいて、苦労する作業も喜んでやってくれる。
本当に山が好きな人は、「山を守りたい」と思う気持ちも強いんです。
一緒に作業するのがとても楽しい。
 


 
 
    8月17日
    美瑛岳で行なわれた「協働型維持管理」という補修作業です。
    美瑛山岳会が中心となって参加者を集め皆で作業する活動です。
    参加者は山岳会だけでなく、一般登山者の応募もあり30名ほどが来てくれました。
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荷上げから始まる作業は楽ではありませんが、
いくつもの班に分かれてチームでやる作業は楽しさのほうが多いです。
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うまく機能しない施工もあると思いますが
初めからうまくいくことなんてないんです。
モニタリングとメンテナンスで次につなげる施工です。
これはどうかな?来年が楽しみです。
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美瑛での整備は、荷上げのみの方もいました。
つらい荷上げを手伝った後はそのまま山頂へ登山。それもありです。
いろんな人がいろんな形で関われるので面白い。
 
 

 
8月22日
天人峡三十三曲りルートの補修作業。
ここはトムラウシへも通じるルートですが、急峻な場所につづら折りのルート、
倒木や崩れのよく起こる場所です。
昨年も作業したのですが、作った階段が崩れたり倒木が増えたりと
再度、有志による補修作業となりました。
上川振興局、環境省林野庁、ガイド、山関係者など20名以上の参加です。
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自分は階段工を担当。
昨年施工の階段は雪崩のような雪の移動によりボロボロに。
やり直しです。今度は崩れないように。
 
施工前。
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施工後、何とか崩れないでいてほしい。
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暑さ、アブや蚊など不快指数は結構ありました。
細かい作業までしてくれた皆さんに感謝です。
今後のメンテも必要ですが見守っていきたいですね。
 

 
8月27日
裾合平でのパークボランティアの方々による整備作業です。
今回はテンサーと呼ばれる資材を使っての補修でした。
テンサーは大雪山では初の事例になります。
使い方によっては可能性がかなりあるのでお勧めしていました。
 
施工場所は木道の脇。
木道もひどいのだけれど、木道脇が流水で土壌が流され
支えの杭も傾き、木道自体が傾いてきています。
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施工後、テンサーの背面に土壌が溜ってくれれば
土壌流出防止、木道の維持にもなります(木道はボロボロだけどね)。
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テンサーの施工は難しくありません。
場所を選んで水平に置き、
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ヤシマットをめぐらし、周囲の土壌を入れていきます。
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脇を詰めて周りを固めたら完成
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水は浸透するけれど土壌は溜ります。
ここがいっぱいまで溜れば、次は数メートル上部に施工し
だんだんと土壌流出を止め、地盤を安定させることができます。
 
施工も簡単、荷上げも楽、周囲の土壌も使える、大きな石材や木材も不要。
見た目が気になるけれど土壌が溜り、テンサーの隙間から植物が生えてきたら
かなり違って見えるはずです。施工は常に先を見据えて行うものです。
 
パークボランティアの皆さん、お疲れ様でした。
今後、どのように変化していくのかが楽しみですね。
 

 
9月3日
旭岳の姿見園地で補修整備作業がありました。
 
姿見園地は大雪山に中で一番利用者が多いルートです。
その割には段差が高い場所や急峻な場所が多く、歩くのには苦労するんです。
 
裾合平まで荷上げをする時も、園地を歩く時が一番疲れます。段差がきつい。
高齢者がロープにつかまり必死で歩く姿を見ることが多く、
何とかしたいと思っていた場所でした。
 
上川振興局の呼びかけで20名以上の参加者で整備できました。
 
ここは遊歩道としての位置づけ。登山道ではないようです。
実際は登山道よりきつい段差がたくさんあります。つらそう・・。
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いつもの段差処理のやり方
簡単で効果的。
施工前
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施工後
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こちらも施工前、40㎝以上の段差。
補助的に石は置いてあるけど足の弱い方は使えません。
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この場所をこんな感じで施工前後
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施工後
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園地の段差処理は見た目の安心感も重要と考えて、広い面を心がけました。
施工前
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施工後
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上から下りるときは踏み面が狭いと不安や怖さを感じます。
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だけど下段が広いと不安感が薄れるんです。
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一日で20段以上の施工ができました。
荷上げ、とくに石材の荷上げは皆さんに苦労してもらいました。
おかげで良い施工になったと思います。
まだまだ施工すべき個所はあります。頑張りましょう。
 

 
9月7日
毎年恒例になりつつある山楽舎ベアーの佐久間さん企画
「たまには山に恩返し」ツアー
での整備です。
 
これは一般登山者が整備に関わることができるツアーで
普段登っている山を自分たちの手で整備していこうというものです。
 
今年で4年目、自分も関わって3年目になります。
リピーター率100%。今年は総勢11名での作業でした。
 
場所は裾合平
石組みの崩れが目立つ場所。
施工前
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施工後
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倒木を集めて荷上げし、周囲の石材を集めて
侵食の原因をとらえてその対策を考え
歩きやすさと見た目の自然さを作り出す。
難しいけれどとても楽しい作業。
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施工後
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こんな感じで20数段の施工。
崩れかけていた石組みが何事もなかったかのように落ち着きました。
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今年初参加の人もいましたが
後半には手馴れて良い作業してました。
 
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この施工が成功していれば土壌が安定し、
道の脇には植物が復元してきます。
 
どんどん減ってくる植物や侵食していく登山道を憂うだけでなく
自分の手で回復させることもできるんです。
 
山が好きならば、山が好きな人ならば
回復してくる植物を見るのは嬉しくなるはずです。
今後も見ていくとさらに楽しくなると思います。
 

 
今年も裾合平、天人峡、美瑛岳トムラウシなど
いろいろな場所で有志の皆さんと作業できました。
 
行政がお金をかけて維持管理していくことも必要ですが
利用者が自ら維持管理に関わっていくことも大切だと考えています。
 
自分も山を歩いた分、道を崩しています。
せめてその分だけでも直していきたいと思います。
 
ボランティアや講習会、整備の集まりなど
これからも行われると思います。
皆さんもどうでしょうか。