雨の登山道 大雪山裾合平
山シーズンは毎日のように登山道を歩き、整備しています。
登山道を整備するときは侵食原因を知る必要があります。
登山者の動きとともに水の流れを知っておかなければなりません。
8月5日、上川地方に大雨警報が出たので登山道を歩いてみました。
場所は旭岳方面、裾合平から当麻乗越まで。
いつも整備している場所です。
ロープウェイは運休。下から歩いて登りました。いい雨です。
歩いて15分もしないで長靴に冠水。
いつもは水のないところにも恐ろしいほどの水。
だけど楽しい。
近自然工法で整備していると雨の道は発見が多く、嬉しくなります。
姿見園地にも多量の水が・・。
これだけの水量になると小砂利や砂が流され植物帯に入るようです。
普段の日との比較
いつもは水の気配などない個所も雨が降ると・・・
登山道が川になっています。
石組施工されていた場所。
崩れもひどく、機能していないな、と思っていた場所には・・・
この水量では何を施工しても無理でしょう。
水深は30㎝以上あります。長靴も意味なし。
固定されていない木道は簡単に流れます。
嬉しい場所もありました。
昨年、流水を想定して水を登山道から逃がす「導流工」を設置した箇所。
施工前は登山道や右の山側から多量の水が登山道に流れ込んでいました。
流水が元の地形のとおりに流れるように、
石を組み登山道へ流れ込まないように施工しました。
8割以上が排水され、この下部では流水侵食は起きにくくなりました。
上記以外にもいくつかの導流工を設置しましたが、
ほとんどが予想通りに機能していました。
登山道整備の流水対策には「排水」による水量を減らすことが第一です。
登山道を流れる水量は、予想以上のことが多くあります。
整備時にはこの水量をしっかりと見ていかなければ、
施工したものが流水で壊れることになります。
また、水量判断と導流工の正しい設置が出来れば
侵食を激減させ施工量を減らすこともできます。
今年、大雪山で行なわれた業者の施工には導流工はありませんでした。
登山道整備に関わる設計・施工業者には
ぜひ、雨の日に登山道を歩いてもらいたいものです。