母島での施工

北海道山岳整備の岡崎です。
母島での作業も1週間ほど経ちました。
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毎日不思議な森の中で作業しています。
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毎年同じ地域で作業をやらせてもらう時、楽しみなのは施工個所の変化を観ることです。
地元大雪山は高山帯での施工が多く、植物の変化は小さいことが多いです。
小笠原では大雪山の10年が1年で起きているような大きな変化が現れます。

ここは昨年施工した場所。裸地化した斜面です。
踏圧で土壌が崩れ続け、新たな植物が育ちにくい環境になっていました。
ここに木と石で踏圧処理をしました。
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施工直後。ちょっとやり過ぎたかなぁ、という感じでしたが・・
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1年後。なんだかとっても馴染んでます。これくらいで良かったようですね。
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この場所の変化も気になっていたところでした。
ボロボロの木道を撤去して石畳にした場所。
ぬかるみ対策の施工。
海岸の玉石を使ったから白っぽい道になって、変化が心配でした。
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一年後。昔からあった道のようになっていました。
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きっと面白いアクセントになるはずと思い、
要所に盛り上げて配置したサンゴの玉石。
施工直後は隙間に土が入って汚れて見えましたが・・
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思いがけない緑色に!!いい感じで苔むしていきそうです。
遊び心はとても大事だと思います。
だけど問題が一つ。
誰も施工したことに気が付く人がいない。
やったことすらなかったことになってしまう可能性も・・。
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失敗もありました。
石組みでの段差処理。
難しい場所でしたが、立ち木の根に基礎の木を配置し、それに石を積んでみた施工です。
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豪雨により基礎を支えていた立ち木が根ごと流されていました。
施工やり直しです。
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基礎を支えるものがないので、前回よりも難しい。
石をやめてすべて木材で施工。今度はどうなるかな。
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新規の施工も多々行ないました。
路肩の補修は様々なバリエーションで。
路肩は真っすぐな崩れは少なく、資材も曲がったものがほとんど。
曲り木を見て嬉しくなったら良い施工者です。
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ちょっとした木の根に引っ掛ける。杭施工よりも強度抜群。
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曲り木を組み合わせて固定。この2本目にはいろいろな意味があります。
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山側に土砂を詰めると路面が出来てきます。
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2本目との隙間に植物を移植。
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植物の根で土壌安定と、踏み面の見た目が広がります。
細かい事柄を大事にして、細かいことを積み上げるのが良い施工の基本だと思っています。
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施工物の固定が難しい斜面の崩れにはいろいろなやり方をします。
横杭打ち込み。
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横杭の上に長木の土留め固定。
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土壌を詰めると・・歩行路が完成。
縦杭止めよりも長持ちすると思います。
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基本的に自分は口出し。
作業はできるだけ地元の人にやってもらいます。
小技も効かせてくれと頼んだり・・
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小技の効いた滑り止め。ちょっとした配慮があるととても安心。
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身軽な人が多いけど、見ているほうが苦しいんだぜ。
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今年の小笠原では一般島民を対象にした整備イベントもありました。
整備イベントは北海道でも楽しい。小笠原ではどんな感じだろう。楽しみでした。
イベントは段取りがとても大事。段取り八分です。
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施工時間は2時間半しかない。
参加者が来る前に基礎がしっかりできていないと話にならない。
施工前の雰囲気を残しつつ、できるだけ準備します。
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刻みを入れ・・
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後半の自由度を残して、だいたいの木材を配置。
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一旦ばらして参加者を待ちます。
一通りの行政挨拶があってから
「さあ始めましょう!」と言っても最初は皆さんカタいんです。
土方仕事なんて普段からやっていない人が多い。
どうすればいいのか全然わからないですよね。
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気さくに(そう思ってる)話をしていても中々遠巻きに見て近づかない。
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だんだんと、恐る恐る近づいてきて・・
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こうなればもう一安心。
やってみると楽しいもんですから。
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所狭しとなってきます。
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普段土木作業している人は頼りになります。
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平らな面を作るのは簡単そうに見えて難しい。
いろいろなことに気を使って石を詰めるんです。
そして出来上がると嬉しいんです。
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資材は水に沈むほど重たい木(モクマオウ)。
いい顔してます。
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親子の参加もありました。
子供は遊ぶのが仕事です。和やかにしてくれる。
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自由度を持って段取りした後半の段差。
慣れてきた参加者から「こうしたい」という意見が出ました。
実はそれを待っていました。
自分の意見を言い、ちょっとでも良くなっていく施工。
これができると「自分で作った道」という感覚が強くなるんです。
合わせるほうは大変だけど、それが面白くもある。
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今回のイベントで施工前の階段。
よくある杭施工の木柵階段。
杭が斜めになり、背面の土壌が流れ、木柵がハードル状になりつつあります。
段差も高くて歩きにくい。よくありますね。
これを交換すると・・
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基礎木を配置した木柵階段に。
踏圧でも流水でも土壌は流れにくい構造になっています。
段差も低く抑え、階段の配置も平行、等間隔ではないので
体力によって歩く位置を選べます。とても楽な歩行になります。
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来年はどうなっているだろうな。
地元の方々も変化を気にしてくれるとありがたいです。
今期は父島でも一般参加のイベントが行われます。
忙しいけど楽しそうだ。
母島もあと2日。やり残しがないように頑張らなくては。
釣りはまた今度かな・・。